こういう世界だよ

思い出の風景に似てるか?

そうじゃない ここが好きなの

似てる必要はないか

ちっとも

俺は誰かに似てるか?

ええ 似てるわ

懐かしい人?

もう死んだ人よ 懐かしむって失ったものが戻るよう願うこと でも戻らない 子供の頃からそう思ってた

冷たすぎないか?

真実に温度などない 日が沈むわ

 

いいか この道に入るならあんたは道徳的決断を迫られる時が突然来るだろう 予測もできない

本職にする気はない

“たった1度だけ”か?

何千回も聞いたか?

まあかなりな 奴らは何度か経験するうちに自分たちで商売を始めやがる

商売繁盛か?

俺が潰す

道徳的な悩みか

俺には全然

卸元の連中も?

彼らは… 仕事と楽しみの混同を嫌う “ボリート”が分かるか?

いや “ボロ”は紐ネクタイ または石のついた投げ縄か

いや ボリートとはある装置のことだ 小さなモーター付きでスチール製のケーブルを巻き取る ケーブルは非常に強い合金で切断はほぼ不可能 形状は輪っかだ 後ろから標的に近づき首にかけてケーブルの端を引きそのまま立ち去る モーターが作動しケーブルが締まり最後はすべて巻き取られる

首は切断

そういうことだ

外せない

ムリだ

ゾッとする 何分で死ぬ?

3分4分5分… 首の太さによる

ウソか

いいや ボリートが作動したら止める方法はない ケーブルが巻き取られたら装置は壊れる 実際死ぬまで1分もかからない

窒息死か?

いや ケーブルが頸動脈をぶった切る 野次馬どもが鮮血を浴びお開きとなる

すごいな

そうとも すさまじい こういう世界だよ

 

ステキね 何カラット?

さあ…

知らないの? 冗談よね?

本当よ

見せて ダメよ 外して 3.5カラット 3.8かも いい石 アッシャー・カット 色もいい Fかな もしかしてG 目に見える欠点は無し 少なくともVS-2ね 値段知りたい?

いいえ

知りたくないの?

必要ないわ

日にちは決めた?

まだよ 教会で式を挙げたいの 彼もいいって でも彼の離婚歴が心配だったけど教会は問題ないみたいよ

緊張する?

少しね 時々不安になる

教会へ行ってるの?

ええ 私には大事なこと

司祭に罪の告白は?

してるわ 毎回じゃないけど

セックスの罪も聞かれる?

聞かれないけど告白すべきよ

いけない行為は二度としないフリをするの?

まあね

奇妙ね もしとても悪いことをしたら? 詳しく聞かれる?

聞かれないと思うわ

赤くなってる じゃ話題を変えましょ 私の性生活について

からかってる?

挑発してるのよ 不思議な世界

この世の中が?

あなたの世界よ

 

彼女のことは?

よく知らない なぜだ?

心の読めない相手は気をつけろ

覚えておく

よし 去年フアレスでの死者は?

さあ 大勢だろ

そう 3000人が殺された 奴らは“別の種族”だよ 肝臓をえぐり犬に食わせる

それも覚えておく

忠告はできない

でも忠告してる

やるなら根性を据えろ どう言えば… ある映画でミッキー・ロークが言った “それが俺の忠告だ やめておけ”

“放火は重罪だ” 

そうとも これもだ

あんたとの会話が“警告的”なので面食らうよ

“警告的”か スコットランドでは損失の際の“人質”を意味する

損失の“人質”? 荒っぽい発想だ

そうだ だが損失を出した者より人質のほうに価値があったら?

あんたは?

俺はヤバくなれば金を持って一瞬で姿を消す この商売のすべてから完璧にズラかる 何も残さず 信じないだろうが言っておく たとえ修道院でも俺は生きていける 階段を掃除しツボを磨き庭仕事をする

本気か?

もちろん

なぜそうしない?

理由は簡単 女だよ 俺はすべて見てきた 何もかもクソだ クソだらけさ 連絡する なぜイエスはメキシコに降誕しなかった?

なぜだ?

“賢者”と“処女”がいなかったから 弁護士さん もう1つ言っておく 頭の切断などはごく普通のこと ただの見せしめ 邪魔者を消すための作業だ だが奴らが殺そうと狙うのは?

さあ 誰だ?

あんただ 弁護士さん

 

“首なし死体 捜査は難航”

おはよう 新聞は見たか?

いや

“グリーン・ホーネット”を?

グリーン・ホーネット? コミックの?

バイカーだよ

どうした 捕まったのか?

記事を見ろ

奴が何を

知らないのか?

何を?

記事を見ろよ

身元は?

バレてない 頭部もない

つまり?

俺が聞きたいね 卸元から電話であんたと話したいと バイカーは連中の手下でブツは不明… バイカーはあんたの依頼人だとか

違う 依頼人じゃない

釈放させたろ

だが依頼人じゃない ただのスピード違反だった 何てことだ

俺はあんたを信じるが連中を説得できるか?

何を説得すると?

これはただの偶然だと 彼らは“現実主義者”だ 偶然など信じない 偶然の意味も知らない

ブツは?

俺も聞いた

答えは?

“消えちまった”と

消えた? まさか 母親が何か知ってるはずだ 電話する

それはやめとけ

なぜだ?

あんたを“殺す”と

冗談じゃない

なぜあの女の弁護を?

母親か?

そう 問題の発端の母親だ 裁判所から弁護人に任命されただけ バイカーの死もブツも僕には関係ない

バイカーや母親がどうだろうと知らん そんな説明などムダだ

僕がブツをどうすると?

連中の知ったことか 俺たち全員グルと思われてる 2000万ものブツが消えた 連中は容赦しない

我々が奪ったと? ライナーも?

どう思う? あんた賢いんだろ? 殺人映画を観たことは?

ない あんたは?

観たいか?

遠慮する

殺人映画を観ることは製作への資金提供だ 観る者は“殺人の共犯”と見なされる

知人で観た人が?

いるとも 若い女がカメラの前で泣きながら斬首される ヤクをやる時思い出せ

ヤクはやらない

何よりだな そこから先が想像を絶する展開となる 目に穴の開いた頭巾の男が登場し痙攣する首なし死体を思いのままもてあそぶ 美しさで選ばれた若い女の死体だぞ 男は金を払ってるんだ こういう映画の製作費は幾らぐらいだと思う?

ひどい 最悪だ

つまり弁護士さん 連中にもできないことがあると思うだろうが何もない どうする気か知らないがもう打つ手はないと思え

あんたは?

いつかこうなると思ってた 後悔してるか? ちっとも やめる潮時を逃しただけだ

この先どうなる?

静かで快適な場所を見つけじっくり考える あんたはそうしないだろう 裏社会に足を踏み入れ“自分は無関係”とは甘すぎる あんた一人の終わりじゃない みんな道連れだ

 

閉めないと

そうだな

行く所がないのか?

眠ってすまない

害はない

害はない… いいことだ すばらしい おやすみ

外はとても危険だ 夜道はね

分かってる

足音が聞こえると奴ら撃つんだ そして明かりをつけ誰が死んだか見る

何のために?

悪ふざけさ 死なんかどうでもいい 無意味だと思ってる

あんたも?

いや とんでもない 家族は皆死んだ 俺こそ無意味な存在だ

 

『悪の法則』

みんな銃を持ってる

ママ? 私は元気にしてるわ 妊娠したの 8週目よ ちょっと待ってね 悪いけどあとでかけ直すわ すぐにかけるわ 約束する

確かなのか 間違いない? 問題ないのか

ええ

妊娠してるのに 体に悪い

 

ちょっと来て

何だよ

早く来て 少し捨ててもいい?

何で?

部屋を広くしたい

話し合おう

何を?

子供についてさ

何度も話したじゃない 子供が欲しいって言ってたはずよ

そうだけど

もう中絶はイヤよ

また作ればいい

そうだけどどうしても今産みたいの

まず自分の物を捨てろよ

今すぐに模様替えしたいの 怒らないでよ

怒っちゃいない

この子は堕ろさない

 

ここは墓地だろ

そうだ

ルイーズの幼稚園もある

だから何だ

墓地と幼稚園が隣り合わせなんて変だ

俺はファストフード店の隣に住んでるぞ

 

昨日はどうだった

アラブ人ばかり来て最低だった

相変わらずだな

あいつらは本当に厄介なんだ 店に入ったら必ず女に手を出す

マジかよ

最低なヤツらだ

知らなかった

1人だろうと問題を起こす 何をさせても態度が悪いからね あれは?

義弟のレオだ

ルイーズをはらませた例の男か

もうすぐ父親だ

いい学校に入れろよ

どうして?

この辺の学校は黒人やアラブ人だらけだ

覚えておこう

楽しいヤツだろ

差別主義ってわけじゃない

ただの間抜けだからな

噂をすればだ

トラブルの予感だぞ

入店は禁止されてます

何だと?

ダメです

ちょっとだけだ

無理です

冗談だろ

絶対にダメです

小便したいだけだ

入れられません

ちょっと中の様子を見せてくれよ

お帰りを

偉そうに言いやがって 俺たちが何したって言うんだ

ああやって短気だからトラブルが絶えないんだ

顔見知り?

俺は見たことある

イカれたヤツらだ

銃だ クソッ 中に入れろ

 

他には? これもですね 以上で?

それで全部だ

91クローネです

たったこれだけで?

どの店も同じです

もっと安い店がある

まさか

どうした?

高すぎると思って

釣りを確認したほうがいい

何だと?

アラブ人め お前は座ってろ

何が問題だ

お前らみたいのがデカい面してることだ

用事が澄んだなら店から出てってください

アラブ人め ママに泣きつけ

出てってくれ

アラブ人め クソ野郎

悪かったね

困った友達だな

悪かった 謝ってるだろ

だから何だ

そうか とにかく謝る

 

殺されたか 銃を持ってるとはね 女もか 何でだろう みんな銃を持ってる

何が言いたい?

なぜみんな銃を持ってるんだ?

映画の世界だ

それは分かってる

なら聞くな

でも変だと思わないか

考えすぎだ

そうか 理解に苦しむね 普通の人たちまで銃の扱い方を知ってる

うるせえな 黙って見ろよ

お前も黙れ

レオがうるさいからだ

同じことだ

レニーはどう思う?

見ないのか

ちゃんと見よう

現実ならあり得ない この前ルイといて男が撃たれるのを見た 映画とは違った

何が言いたい?

ルイの友達が撃たれた その後撃った男をリンチしてただろ

忘れたよ

あれだけ殴っておいて忘れたって言うのか 人を撃った経験は?

ない

動物は?

ない

ウサギも?

ウサギも動物だろ

質問に答えろよ

撃ってない

撃ちたいか

いいや

俺に銃をくれ

何のために?

楽しむためさ

おもちゃじゃない

くれよ

無理だ

何でだよ

お前はバカか

銃が欲しいんだ

映画とは違う

映画しか知らないくせに口を出すな ルイーズには内緒にする どうだ?

ダメだ

機関銃がいい そうか もういい この男ドアを閉め忘れてるじゃないか 次は爆破でもされるか

 

おかえり 早かったのね

ルイーズ 来てくれ

待って

早くしろ 説明しろ

模様替えしたの

俺の物は?

床に置いた

何でだよ

どんな感じか少し試してみただけ

自分の物はそのままで俺のだけ動かしたろ 俺の物に触るな

写真だったらすぐ元通りにできるわ

勝手に動かすなと言っただろ

何を怒ってるの?

俺の人生なのに

私だってその人生の一部でしょ それにあなたの物だってすぐ元に戻せるわ ケンカしたくない

ルイに話したな

いいえ

本当か?

何を話したって?

だから… 俺のことさ

何の話よ?

お前を殴ったと告げ口しただろ

話してない

ウソつくな

聞かれたのよ

結局話したんだろ

隠そうとしたわ

ウソつきやがって

私はウソつきじゃない 信じられない人とあなたは暮らせる?

何だと?

一緒に暮らしてるのよ

全部お前のせいだ

元に戻すわ

勝手すぎる 自分の物は動かしもしない

私は恋人よ

だから面倒見てるだろ

ウソつき呼ばわりなんてひどすぎる 赤ちゃんがいるのよ

分かってるさ いい加減にしろ 俺の人生を台無しにしないでくれ 俺の意見も聞かないで 子供なんか欲しくない 最初から言ってたはずだ

 

『ブリーダー』

俺の心はサソリで一杯だ

今度はいつ会う? 雷? 稲妻? 雨の中で?

騒動がおさまり戦に負け勝った時に

場所は?

荒野だよ そこでマクベスに会う

いいは悪く 悪いはいい 汚れた霧空 飛んでいこう

 

何者だ?

生きてて言葉が通じるのか? 答えろ 何者だ?

マクベス グラームズの領主

マクベス コーダーの領主

マクベス 将来の国王となる者

どうされた いい知らせに怯えた顔を わが友はこれからの出世と王位まで予言され呆然としておられる

マクベスより小さくマクベスより偉大な方

幸せでなくでもずっと幸せ

王になれず子孫が王に

万歳 マクベスとバンクォー

バンクォーとマクベス 万歳

待て 訳の分からんことを言う奴らだ どこからそのような話を? こんな荒野でなぜ我々にそんな予言を? 言え! 答えろ!

見ろ 水の泡のように大地に消えてしまったぞ

息が風に溶け込むように大気の中に消え失せた 引き止めたかった

本当にいたのかな? 我々が毒草を食い幻覚を?

“子孫が王になる”と

貴公は王に

コーダーの領主にもなる

確かにそう言った

 

あの不可解な予言は悪か善か判断がつかぬ 悪いなら奴らはなぜ真実を語り俺をコーダーの領主に? 善いならなぜ俺は王位の誘惑に屈するのだ? 思うだに恐ろしさに身の毛がよだつ 想像する恐怖は現実より恐ろしい 運で王になるなら何もせず運に委ねよう

 

“奴らに出会ったのは勝利の日 そして知った 奴らが人知の及ばぬ力を持つことを もっと話したかったが大気の中に消えてしまった その場に呆然と立ちすくんでいると王の使者が来て「コーダーの領主」と 魔女どもが私に呼びかけた称号だ そして未来を仄めかし「未来の国王万歳」と” おいで! 血の企みに手を貸す悪霊よ 私から“女”を奪って頭の先から爪先まで残忍な心で満たしておくれ この乳房に入り甘い乳を苦い胆汁に変えておくれ お前は今もどこかで悪事を働いてるはず おいで 暗黒の夜よ 地獄の黒い煙に身を包み短剣がつくる傷口を隠しておくれ 天が闇の帳から顔を出し“待て!”と止めないように 夫が戻ったら私の魂をその耳に注ごう 私の舌の力で王冠の邪魔をするものを追い払おう

 

お手紙を読んで私は現在を飛び越えもう未来に息づいてる気分です

愛する妻よ 今夜ダンカンが来る

ご出発は?

明日とのことだ

王に明日は来ません グラームズから今はコーダー さらに約束された地位に ご気性が心配です 人情という甘い乳に満ち近道を選べない方 野心はあってもそれを支えるべき邪な心がないのです 世間を欺くには世間と同じ顔を 目と手と舌で王に歓迎の気持ちを表し無心の花の陰に蛇を潜ませる さあ歓迎の準備を 今夜の“大仕事”はお任せ下さい 至上の権力を手にできるか 私たちの未来が今夜決まるのです

 

そこにあるのは短剣か? 柄を俺に向けてる よし この手に渡せ 見せておいて触れさせないのか? それは幻の短剣か 熱に浮かされた頭がつくり出した幻覚か 俺の使おうとする物の形で俺を案内するつもりか 目がどうかしたのか 他の感覚がおかしいのか これは錯覚だ あの血なまぐさい企みのせいだ いま世界の半分は死んだように眠り悪夢が眠りを欺いてる 魔女たちは浮かれ人殺しは幽霊のように忍び寄る お前が見える 今抜いた短剣のようにはっきりと 脅し文句を並べても言葉は実行の熱を冷ますだけだ

 

貴公の血の泉 その流れのもとが止まってしまった その源からダンカンが白銀の肌を黄金の血で染めて横たわり人殺しどもは仕事を物語る色に塗れてる 俺がこの行いの1時間前に死んでいれば幸せな一生だった この世から価値のあるものは何もなくなった 何もかも玩具同然 栄誉と美徳は死んだ 命の酒は飲み干され酒蔵に残ったのは澱だけだ 貴様は幻か? 言葉が通じるのか?

 

なぜこんなところにお独りで?

蛇を傷つけたが殺してない やがて傷が癒え元どおりになれば我々はその毒牙にさらされる

薬のない傷はほっておいて 元には戻れない さあもっと元気を出して 怖い顔はやめて お客様の前で今夜は明るく振る舞って

バンクォーも息子のフリーアンスも未だ生きている

もうやめて

あの魔女たちが初めて俺を王と呼んだ時バンクォーが問うと魔女たちは彼が代々の王の父になると予言した 俺の頭上には実を結ばぬ王冠をかぶせこの手にはいずれもぎ取られる王笏を握らせたのだ 俺の子は後を継がぬ となれば俺はバンクォーのために手を汚し慈悲深いダンカンを殺したことになる バンクォーの子孫のために俺は心に毒を盛ったのか 奴らを王にする? バンクォーの子孫を王にするためだったのか

どうなさる気?

お前は知らぬ方がよい 後で褒めてくれ 俺の心はサソリで一杯だ 驚いているのか? 心配するな 悪事に手をつけたら後は悪に委ねることだ 眠りをもたらす夜よ 情けを知る昼の目を包め そして血塗られたその見えない手であいつの命の証文を引き裂いてくれ

 

お前たちの持つ不思議な魔力で答えてくれ 答えろ! 答えろ 命令する

獅子の勇気を持ち傲然と構えているがいい 周囲の声は気にするな

マクベスは滅びない

バーナムの森がダンシネーンの丘を攻めてくるまでは

マクダフに用心せよ ファイフの領主に それだけだ

マクダフに用心を ファイフの領主に

残忍になれ 大胆に心を決めろ 人間の力を恐れるな 女が産んだ人間にマクベスを倒す力はない

 

奴が逃げた?

はい 陛下

実行の伴わぬ計画は無駄だ これからは心が思いつくことは手に行わせるぞ

地獄は薄暗い 元には戻れません

兵を出せ 恐れを口にする者は縛り首だ マクダフの城に不意打ちをかけファイフを奪う 奴の妻子と血のつながる者を刃にかけてやる 口先ではないぞ 必ずやってやる

 

人殺し! 人殺し! 人殺し! 私は何もしてない! 何もしてないのよ! 人殺し! 殺さないで! 子供たちは助けて!

 

何という暴君! 名を口にするだけで舌が爛れる そいつをかつては清廉な男と信じていたのだわ!

 

まだここに汚点が… この忌まわしい汚点! 早く消えて! 地獄は薄暗い あなたどうなさったの? 武人が怯えるの? 真実が暴かれようと権力を持つ者は恐れなどしない でもあんな老人にあれほどの血があろうとは… ファイフの領主には妻が… 今どこに? 見て この手の汚れは落ちるの? もうやめてあなた もうやめて ビクビクなさらないで まだ血の臭いがする アラビア中の香水をふりかけても消えないわ 手を洗って夜着に着替えて下さい 何て蒼ざめたお顔… ベッドへ ベッドへ 誰かが門を叩いてる さあ 早く! さあそのお手を私に… もう元には戻れない ベッドへ ベッドへ ベッドへ ベッドへ ベッドへ ベッドへ

 

森がダンシネーンに向かってくる! 警鐘を鳴らせ 鎧を! 鎧を着け死を迎える

暴君め! 面を見せろ!

逃げるも留まるもかなわぬ この世の秩序など闇に崩れ去るがいい 風よ吹きまくれ 破滅よ 鎧を着けて死んでやる 杭に縛りつけられ逃げ道を断たれたも同然 熊のように闇雲に戦うのみ 俺が恐れるのは女の腹から産まれなかった奴だ 愚かなローマ人のように自刃などはせぬぞ 目の前の敵をぶった斬る!

地獄の犬め 来い

 

『マクベス』

神からの授かりものを冒涜に使ったの

考えてもゾッとする 話しても信じてもらえない

信じるよ 初めから話して

最初は小さな事 手とか脚の位置が変わってたりうつむいてた顔が上がってたり ある日別の部屋に移動してたわ ひとりでに動いた

誰かが合いカギを持っててイタズラしたとか?

私たちもそう思った でも侵入された形跡はなかったわ

それで人形が取りつかれてると?

霊媒師に聞いたら7歳の少女の霊だと アナベル・ヒギンズ この部屋で死んだ 孤独な少女で私の人形を気に入った 友達が欲しかったのね

事情を知って少女に同情した 私たちは人を救う看護師よ それで人形に取りつく許可を…

待って どういうこと?

人形に憑依して同居したいって 承諾したわ

そしたら思わぬことが… 私たちの手に負えない 助けてくれます?

助けるとも まずアナベルの霊は最初から存在しない

幽霊にそこまでの力はない 人形を操ってるのは人間じゃないもの

許可したのが間違いだ 人形を通してあなたたちを支配する許可を与えた

その霊は何?

人間の姿で存在していないもの おそらく悪魔

じゃ人形の憑依は?

ないわ 人形は媒体 動き回って憑依に見せかける 悪魔は物に取りつかない ねらいは人間よ 人間に巣食うこと

 

恐怖の定義は差し迫った危険により動揺して不安に陥ること 幽霊などの霊体は恐怖をエサにする モリースの場合 彼は農夫で教育程度は小学3年レベル だが憑依された時見事なラテン語を話した 彼は幼いころ父親に性的虐待と暴力を受けていた 悪魔は彼に巣食った

彼の目を見て 血の涙を流している すると突然彼の身体に逆さ十字が浮き出てきた

モリースはどうなったの?

自分の妻を殺そうと だが代わりに自分を撃った 彼は悩みを抱えて人生に絶望していた 悪魔祓いをしても救えなかった これにより三段階の活動が判明 出没 攻撃 憑依 まずは出没 ささやき足音を立てて存在を知らせる それが進むと攻撃 第二段階だ ここで犠牲者を定める 精神的にもろい人 外部の圧力に弱い人だ 犠牲者を弱らせて意志を奪う 心が弱ったらいよいよ第三段階に入る 憑依だ

 

この数日はもっと気温が下がってそれに悪臭も 肉が腐ったような 家中でにおう 何です?

腐敗臭は悪魔の活動を示す場合があります

悪魔ですって?

ドアの音を防ぐためだ そうしないと一晩中こんなふうに

3回たたく? 夜明けにやむ? 三位一体を侮辱している 父と子と精霊を

奇妙なことにいろんな鳥が飛んできて家に体当たりして首の骨を折る

なるほど

時計は3時7分で停止

全部が?

家中のよ それは階段の壁に掛けてた 何かに落とされて掛けるのをやめたの

 

妻と意見が一致した この家は“洗浄”が必要です 悪魔祓いする

悪魔祓い? それは人にするものだろ

人とは限らない

ここを出ましょう

解決にはならない 妻には見えている 話してあげて

この家には邪悪な霊体が取りついてる 庭にも 玄関に入って霊が見えた お二人の背後に 娘さんたちに紹介されて居間に入った時も どこへ逃げてもムダ 霊体は家族に取りついて巣食おうとしてる

 

何か見つけた?

かなり あの家族はさぞ怖い思いを… 元々は農家 ジェドソン・シャーマンが1863年に建てた 彼はバスシーバと結婚 彼女の親類がメアリー・エスティ セイラムの魔女裁判で公判中に死亡 バスシーバは結婚して出産 生後7日目の子を生贄にした所を夫に見つかった 彼女はあの木に登り悪魔への忠誠を誓い“土地を奪う者は呪う”と叫んで首をつった 記録だと死亡時刻は午前3時7分

時計の説明がつく

ほかにもある 1930年代の住人はウォーカー夫人 ローリーという息子が森で謎の失踪 彼女は地下室で自殺 まだあるわ 200エーカーの土地はその後分割されて売却 別の少年が池で溺死 家は敷地内にあった 近隣の家のメイドも自殺してるわ

“土地を奪った者たち”

 

自分の子を殺せる?

子供と思ってない 神からの授かりものを冒涜に使ったの 魔女の格を上げるための貢ぎ物

 

あの魔女よ 母親に憑依して子供を殺させる キャロリンのアザは魔女のせい 彼女に巣食ってる

 

『死霊館』

無関心が一番の解決だ

定年後はどうする サマセット?

畑を耕し家の修理でもするさ

だが寂しいと思わんかね 警官じゃなくなるんだ

うれしいよ

ムリだね 君は辞められん

犬の散歩中に男が襲われた 時計と財布を盗られ救いもなく歩道に倒れてたら今度はナイフで両目を刺された ゆうべ近所で起こった事件だ

知ってる

もうついて行けない

ずっとこうだ

確かに

この仕事は君の天職だ 君も否定はしまい 違ったか?

 

諸君 なぜだね? この書籍と知識の山に囲まれて君たちは一晩中ポーカーとは

俺たち文化人だぜ 尻から文化をひねり出してる

 

都会では他人には関心を持たない 強姦魔に襲われたら大声で“火事だ!”と叫べと言う “助けて!”では誰も助けてくれない

クソだな

 

遊んでる

クソ野郎!

感情的になるな 冷静に状況を見ろ

俺は感情で生きてる

聞いてるのか?

聞こえてる

失礼

何してる? 立入禁止だぞ

UPIのカメラマンだ 通信社の記者だ

出てけ!

写真を撮ったぞ あんたのな

俺はミルズ刑事だ MILLSだ

スペルを?

バカ野郎 なぜこんなに早く?

警官の情報だ いい金を払ってる

悪かったよ だがあの野郎

いいさ 感情で生きてる奴も面白い

 

あなたならこの町に詳しいと 長く住んでれば…

きつい町だ

わざわざ来てもらって

悩みがあるならご主人に相談すべきだ

負担をかけたくないの 特に今は… いずれ慣れるわ ただこの町に長い人と話がしたかったの 州北部はまるで環境が違うから 私が小学校で教えてたって聞いてる?

聞いたよ

あちこち学校を見たけどここの状況はひどいものだわ

私立の学校は?

さあ

本当は何を悩んでる?

じつは子供ができたの

トレーシー そういう話は私に相談されても…

この町が嫌い

私も女性と暮らしてた 夫婦同然で やはり子供ができた ずっと昔の話だ 朝起きて出かける用意をしてた いつものように… だが頭の中に妊娠があった そのとき生まれて初めて怖いと思った こう思った こんな世界に子供を? こんなひどい世の中に産むのかって それで彼女によそうと それから数週間彼女を説得した

私は産みたいわ

今考えてみても正直言ってあの判断は間違っていなかった だが1日として違う決断をしてればと思わない日はない もし子供を産まないつもりなら妊娠は内緒にしろ だが子供を産むのなら精一杯甘やかして育ててやれ 私が話せるのはそんなところだ 行かねば

ウィリアム ありがとう

 

もう一度聞かせてもらう 何も変なものは見なかったと?

ああ

お前の店に来て下の部屋に行ってアヘアへするには必ず君の前を通る 誰も見なかったか? 何か荷物を抱えた奴を

来る奴はみんな何か抱えてくる スーツケースに物を詰めて来る奴も

仕事は楽しいか? あんな所で?

いいや 楽しかねえ それが人生だろ?

 

これを脱がしてくれ 脱がしてくれ 奴は俺に“独身か”って 手に拳銃を持ってた

女は?

女って?

娼婦だ どこにいた?

彼女はベッドに座ってた

縛ったのはお前か?

あいつが拳銃で俺にあんなマネを 無理矢理させられた あの変なものを着けさせられて それから女をヤレと それで女とヤった 神様! 口に拳銃を突っ込まれて ノドまで拳銃を突っ込まれたんだ ファック! 神様 神様助けて お願いです

 

ハッピーエンドはない 絶対に

逮捕するさ

もし捕まえたジョン・ドウが本物の悪魔だったらお前も納得するだろ だが悪魔じゃない 奴も人間だ

あんたはそうやってブツクサばかり言って… 甘くないと教えてくれるのは嬉しいが…

英雄になりたいか? 人々は英雄なんて求めてない 平凡に暮らしたいだけだ

あんたこそ素直じゃない 何でだ?

いろいろあったのさ

例えば?

俺はもう無関心が美徳であるような世の中はうんざりだ

あんたも同じだろ

違うとは言ってない 俺にも十分わかる 無関心が一番の解決だ 人生に立ち向かうより麻薬に溺れる方がラクだ 稼ぐより盗む方がラクだ 子を育てるより殴る方がたやすい 愛は努力が要る

俺らが話してるのは頭のイカれた奴らだ

そうじゃない 我々は日常を話してるんだ お前はウブすぎる

よせよ 考えてみろよ あんたは問題は人々の無関心だという 俺は人など知ったことか 自分にあればいい

関心が?

ああ そうだ

自分が世を変える

ともかくあんたは世の中をそう思うから辞めるわけじゃない 辞めるからそう思いたいんだ 俺に同意を求めてる “ああ 世の中最悪だ こんな所やめて山奥に住もう”ってね だが俺はそうは言わない あんたに同意はしない できない

 

お前は誰だ? 本当の正体は?

正体?

今さら正直に言っても損はしまい

私が誰かなんて意味はない 左を走ってろ

行き先は?

あせるな

ただ死体の所に行くとは思えない それじゃ面白くない 新聞だって期待してる

人にものを聞かせたければ手で肩を叩いてもダメだ ハンマーを使うのだ そうすれば人は本気で聞く

お前は人にものを聞かすほど特別なのか?

特別じゃない 私は人と同じだ だが私のしてることは特別だ

してること?

ああ

別に何も特別じゃない

違う

そうさ 不思議なことに2か月も経つとみんな興味を失いすべて忘れちまう

まだ全部終わってない このすべてが終わればその結末は人には理解しにくいが認めざるを得なくなる

訳が分からんね くだらん計画だ

早く君に見せたいよ すばらしい結末だ

俺はお前の横についてる ショーが始まったら教えろ 見逃したくない

心配ない 見逃さんよ 絶対にな

嬉しそうだな

もうすぐだ

よく分からない 教えてくれよ 異常な奴ってお前もそうだが自分を異常だと? 1人で本を読みマスをかきながらふと自分を“俺すげえ頭がイカれてるぜ”なんて そう思うか?

私が異常者なら安心か?

その通りだ

どうせ君には理解できない 私は選ばれた者なのだ

そうかい

そう信じてるんだろ だがお前は矛盾に気づいてない

どんな?

よく聞いた もしお前が何か偉大な力に選ばれてこうしてるならなぜ自分が楽しんでる? 人殺しを楽しんでる とても殉教者とは思えん

どうだ?

ミルズ刑事が尋問室で私と2人になればもっと楽しむ そうだろ? 好きなだけ私を痛めつけられる

傷つくね 俺は決して…

結果を恐れてしないだけだ だが目が語ってる 仕事を楽しむのは当然だ 私自身も喜んで罪人に罪を償わせた

お前は罪のない人たちを殺した

罪がない? 冗談だろ あの肥満男 満足に立つこともできずあのまま人前に出れば誰もがあざ笑い食事中にあいつを見れば食欲は消え失せる あの弁護士など感謝状をもらいたい あの男は生涯をかけて強欲に金を稼ぐためにあらゆるウソをつき人殺しや強姦魔を街に放してた

人殺し? お前自身だ

あの女! 心が醜くて見かけだけでしか生きられない ヤク中など腐った肛門愛好者だ それにあの性病持ちの娼婦 この腐った世の中で

誰が本気で奴らを罪のない人々だと? だが問題はもっと普通にある人々の罪だ 我々はそれを許してる それが日常で些細なことだから朝から晩まで許してる だがもう許されぬ 私が見せしめをした 私のしたことを人々は考えそれを学びそして従う 永遠にな

誇大妄想だ

君は感謝しろ

どうして?

この後人々の記憶に残る いいかね 私が今ここにいるのは私が望んだからだ

いずれ捕まえたさ

そうか だが何をしてた? 私とふざけてただけだろ? 5人の罪なき者を殺してワナを張ってたか どんな明白な証拠をもって私に迫ってた? 私が自分で手を挙げて来なかったら?

そう熱くなるな お前の部屋を見つけたろ

そうだ 私はお前のツラをブン殴った わざと殺さなかったんだ

下がってろ

情けでな

下がれ

鏡で顔を見るたびに思い出すがいい 今後一生… 私のお陰で救われたこれからの一生を

下がれ 異常者め 黙ってろ お前は救世主などじゃない せいぜいワイドショーのネタだ

私は憐みなどしない 皆神に滅ぼされたソドムの住民と同じだ

お前も神と同じ審判を与えたと?

神の行いは神秘だ 話ができて良かった 本当に君には感心してる 君は立派に生きてる 自信を持っていい

やかましいぞ

私も君みたいに…

黙れ

聞けよ 君をほめてるんだ 可愛い女房もな トレーシー

何だと?

君の分署の警官たちは簡単に記者に情報を流す 今朝君の出たあと家におジャマした 平凡な夫の楽しみを味わいたくてな 逆らいおった そこでみやげを持ってきた 女房の首だ

こいつは何を?

銃を

あれは?

銃をよこせ

あの箱の中身は?

君の平凡な暮らしをねたんだ私も罪人だ

あの箱は? 中身は何だ?

言っただろ

ウソだ このウソつきめ!

奴はお前に撃たせたいんだ

言えよ ウソだろ

復讐…

無事だろ?

怒りの罪だ

無事だと言え!

殺せばお前の負けだぞ

女房は命乞いをした 子を身ごもってると 知らなかったのか

銃をよこせ デビット こいつを殺せばこいつの勝ちだ

ああ 神よ

 

面倒は見る

ぜひとも

このあとは?

何とか… やっていくさ

 

ヘミングウェイが書いてた 「この世はすばらしい 戦う価値がある」と 後の部分は賛成だ

 

『セブン』