Exhibitions


 

大山純平 個展

「単なる機能不全」

 

トキ・アートスペース

2017年6月5日(月)~6月11日(日)

11:30~19:00、~17:00(最終日)

水曜定休

 

A4モノクロレーザープリント(両面印刷) 約10000枚

動画 約40分

 

朝6時。カラスがゴミを道路に散らかしている。白いビニール袋が風に吹かれて動いている、と思ったら、カラスに突進していくために、しゃがんで後ろ足に力を貯めている白い猫だった。家に帰る途中でいつも見るシルバーのトヨタbBが今日も走っている。家に帰るまでの十分間で何度も見ることになる。高台にある住宅街へ向かう坂道にケツを突っ込んでいたり、婦人服専門店とコーヒー豆専門店の間の細い道にケツを突っ込んでいたり、潰れたタバコ屋と居酒屋の間の急な坂道にケツを突っ込んでいたりする。以前、父と一緒に車に乗っていたときに、このトヨタbBが今売れていると言っていた。私はその車を目で追ったが、父に何て返したらいいかわからない。「へー」か、「ふーん」が妥当だろうか。

公園に行っても誰もいない。電話ボックスに入る。砂場からはいつも異臭がする。砂場の砂を掘ると砂まみれの猫の糞が出てくる。たぶん猫の糞だ。近隣の家々は水の入ったペットボトルで取り囲まれている。キャップを見ると、全部アクエリアスだったのがわかる。私は公園の帰りにあの雑草のところに寄る。捨てられた畑の水の出口のところに生えた背が高くて茎が硬い雑草の群れ。今日は傘を持っているのだ。これで横から思いっきり叩いて茎を折ろう。

学校から家に帰ると二階から母が降りてきて、祖父が亡くなったと聞く。その日は日本語ヒップホップのライブを初めて見に行く予定だったのに、すっかり忘れていた。彼らが「イエー!」ではなくて「ヒエー!」と言っていることを発見したのに。母と病院へ行くと、病室の窓際のベッドで祖父が亡くなっている。正確には亡くなった様子である。私たちより先に来た叔母が病室に入っている。祖父と叔母の大事な場面だ。いつだって大事な場面なのだから、まずは、母と一緒に廊下にちょうどよく設置された長椅子に座り、開かれたドアから病室の様子をうかがう。夕日を浴びながら仰向けで寝ていて、目を閉じ不自然に口を大きく開いている。誰かに何かを伝えるためでもなく、呼吸するためでもなく、干乾びている。突然、そういえば入れ歯だったな、と私は思い出した。眼鏡なんて入院する前から洋間の引き出しに入ったままだ。その眼鏡をかけてみると、視界が白く濁って、しばらくすると頭が痛くなる。そして、排泄物の臭いが蘇る。何であれ新しい糞だ。急いで消臭スプレーを表面が湿るまで吹きかけて、半透明のゴミ袋に詰め込もう。白で統一された寝具に包まれ、強い光で祖父の輪郭がなくなってしまう。伯母が、両手を膝に乗せて、ベッドの傍の椅子に座り、祖父の顔を見ながら、涙を流している様子。そして、彼女の顔に近づく描写が、祖父よりは光が当たっていないので陰りのある湿った顔面を視聴者に効果的に伝えるカットが挟まれる。入念に施された化粧が何かを隠したり、何かを付け足したりしている。今日の血液型選手権ではタヌキが勝った。B型の緑色のタヌキ。私の分身がA型のピンクのクソッタレ犬に勝ったのだ。

同級生が自殺する。校舎の三階の窓から飛び降りたらしい。私はそのとき、仮設の校舎から帰宅するのに彼の墜落現場を通る最短の経路を取らずに、なぜか少しだけ遠回りになる別の経路を選択している。彼自身の考えで、陸上部がホースから水を噴射してスターティングブロックを洗浄して干しておく場所に、彼の頭が叩きつけられた。彼の家に選出された生徒たちと一緒にうかがう。彼は骨壺に入れられ、さらにそれを桐箱に入れて、飾り房が付いていて銀色に輝く花の模様がちりばめられた肌触りの良いとされている生地のカバーをかけられている。箱を開けて中身を確かめてはいけない。彼の母がテレビのスイッチをつけると映画が放映されていた。これは途中からだと私は思った。放っておいて問題ない。彼女は息子が「何でお母さんはいつも事故を起こさずに車を運転できるのか」という疑問を抱いていたことを私たちに話してくれた。この時、私にとって、少なくともさしあたって必要なのは、食卓に出された麦茶とポテトチップスを少し減らすことだろう。

いつからかわからないが、マツダファミリアが路上駐車されている。そのマツダファミリアとは少し距離を取りたいので、隣のアパートの駐車場で横たわったサビ猫の隣に座って眺める。サビ猫は車なんて見ない。車体の上が白くて下が黒くて、どのタイヤもパンクしている。車内はゴミだらけだろう。外側がゴミそのものなのだから。車内を見ないように気を付けよう。サビ猫の僅かに上下する腹に枯れ葉をのせる。その枯れ葉の上にまた枯れ葉をのせる。重なった枯れ葉が腹の毛に引っかかり、腹に固定されて上下する。サビ猫は枯れ葉を数秒確認したらすぐに前足のグルーミングを始める。

洋間で祖母が車椅子に座りみかんをひとつ手に持ちテレビを見ている。母によって、この場所に固定させられている、とも言う。祖母は立って歩けないわけではないのだが、祖父が死んだので席が空いたのだ。毎週木曜日の夕食後に、私が洋間のソファーに腰かけると『奇跡体験!アンビリバボー』という番組が始まる。番組タイトルが画面に表示されると祖母は画面に向かって「アンピリパポー」と言う。私は「アンビリバボー」と言う。祖母は「アンピリパポー」と言う。私は祖母を見ているが、祖母は画面を見ている。番組が終わり、私がトイレに行こうと思い、祖母を見ると頭を身体に沈ませて眠っていた。いつもこうなる。私は、他の人がやるように気を利かせて、祖母の車椅子の車輪のロックを外してあげた。自分で操作できるようにしてやる。私はトイレに行き、そのまま洋間には戻らずに二階の自室で寝たのだが、翌朝、祖母が車椅子に座りながら落ちたみかんの皮を拾おうとして転倒して頭を打ったことを母から聞く。なぜか車輪のロックが外れていた、と。昼食時に空いているお店に入ると失敗するのは、火を見るより明らかです。少しくらい並んで待っても、味の確かなお店にしましょう。


大山純平 個展

「受注生産」

 

The White

2016年9月13日(火)~9月24日(土)

13:00~19:00,~17:00(最終日)

日曜、月曜定休

 

A4モノクロレーザープリント(両面印刷) 約8000枚

動画 約45分

 

サビ猫に会いに行く。自宅の隣の白い2階建てアパートの外壁にコケやカビが繁殖している。敷地は緑色の金網フェンスで囲われ、駐車スペースには砕石が敷かれている。石の大きさが不均一なため、石同士が噛み合って固定される性質があり、車の乗り入れに適している。また、その上を人が歩くと音が出るので防犯効果を高める。外壁に張り付いた階段を上る。軋む音がする。強くて長持ちする鉄骨製。自然界の鉱石から還元操作により人為的に作られた鉄。鉄の階段は大気中で自然に還り錆が生成され、住民の健全な生活により錆が地面に落下して階段の下のデッドスペースに堆積する。湿気の多い有効活用されていない日陰に横たわるメスのサビ猫が目を細めて私を呼ぶ。サビ猫は立ち上がり私の生活の匂いを自分の匂いに置き換えるために私の足に近づく。爪先立ちの状態で直立し、脚全体の長さを稼ぐことで歩幅を大きくして、高速での移動に有利になる歩き方。静かに忍び寄ることや急旋回にも優れている。より進化した方法によるサビ猫の頭部の水平移動。サビ猫の頭部に近所のスーパーのビニール袋を被せて持ち手の部分を前足に通して固定する、という年上の従兄弟の計画を思い出しながら、サビ猫が四肢を伸ばして横たわる姿の輪郭に合わせて大きめの砕石を配置する。学校創立120周年記念の航空写真の撮影のため、グラウンドに集められて校章を形作る全校生徒。交通事故現場の衝突地点付近にいくつかの秘密の記号が付与される。駐車スペースに黒いフェアレディZが入ってきた。改造され強迫的になったエンジン音と、砕石がタイヤに踏まれる暴力的な音と、車内から漏れるドラムマシンの単調な反復のビート。人為的で無意味なビートに合わせて適当に切断された、何を言っているのか分からない声が定期的に挿入される。人々はこれについていけず、引きずり回された挙句にゴミのように捨てられる。人とゴミの区別をなくすことだけに特化した全く生産性のない快楽主義。サビ猫に3匹の子猫が生まれたが、数日後には、1匹はアパートの前の舗装された道路で轢死して、気が済むまで周囲に悪臭を撒き散らす、誰も近寄らない空間芸術となり、残り2匹は、アパートの2階の一室の扉のないメーターボックスの中で、近所の新装開店したスーパーの白いビニール袋に死体になって入れられて、互いに優しく寄り添いながら恍惚として回収を待っていた。3匹とも目が開かないままだった。アパートの出入り口付近の金網フェンスに取り付けられた中身のないアシナガバチの巣。卵を産めなくなった女王バチの最期。地面と衝突する音。普段の生活空間にグリーンを取り入れることで、空気清浄はもちろんインテリア空間がグッと引き締まりモダンな空間が演出できます。育てやすく生命力が強いパキラは、人気の高い観葉植物です。家族揃っての食卓ではテレビを見てはいけない。説明書通りにキッチンバサミで解体され、身を取り出されたズワイガニが白い無地の食器類に乗っている。家族間のコミュニケーションを促進する。今日の学校、今日の部活、今日の友達。これまでの活動の成果や反省点について明らかにし、これからの活動につなげていく。計画、実行、評価、改善の完璧で美しいサイクル。1周ごとにサイクルを向上させて、継続的に業務改善する。真の革命戦士となるために反省を促す。革命戦士に成長させるための試練。私刑による凄惨な連続殺人。25周年ありがとう。25,000様に白いボウルをプレゼント。食卓で死体になった家族は、食卓から解放されると、各々の部屋か、洋間へ行き、それぞれテレビを見る。いつだって電源を入れればテレビが死体に話しかけてくれる。テレビの出題するクイズに制限時間内に解答しないとゲームオーバー。テレビが主催する討論会に参加する父。頭部をモザイク処理された薬物依存症の女性の話を聞いて、頷き、返答する。正規のルールに基づいている終わらない父のゲーム。彼女はいつも「まだ大丈夫」と問題性を否認しているうちに、肉体、精神、実生活を徐々に破壊していく。彼女の問題の先送りへの異常なまでの執着。非可逆変換で処理されたモザイクは、原理上、絶対に元の画像を復元することはできない。父がテレビ画面に射精する。いつまでも表面だけに執着し続ける。ビニール袋を頭部に装着して視界が白く染まったサビ猫が四方八方に飛び散る。駅のホームのベンチに捨てられている、ポケットティッシュに封入された広告に印刷されたプロフィール。名前:もえ 年齢:19 胸のサイズ:Bカップ 好きな体位:バック 趣味:ねること


大山純平 個展

「いやしい豚」

 

トキ・アートスペース

2016年5月23日(月)~5月29日(日)

11:30~19:00、~17:00(最終日)

水曜定休

 

A4カラー・モノクロレーザープリント(両面印刷) 約9500枚

動画 約3時間

 

父が私の部屋に来て『復習の鬼』という名前の問題集を全教科分置いていく。平積みされた問題集の背の部分に印字された“ドリル”という言葉が連なっ ているのを私は学習机に寝そべりながら見つめる。外で猫が鳴いている。窓を開けて裏庭を見ると祖父が手入れをやめた盆栽の棚に白黒の成猫が座っている。私 は学習机の引き出しから消しゴムを取り出し千切って猫に投げつける。消しゴムが猫の近くの盆栽に当たると猫が私を見て鳴く。私は消しゴムを千切って窓から 空に向かって放り投げる。裏庭に消しゴムが着地するたびに猫が鳴く。猫は座ったまま動かない。

父と一緒に近所の溜池にブラックバスを釣りに 行く。溜池の土手に到着するとコンクリートの部分に3匹分のブルーギルの頭部が切り取られて置いてある。3匹とも口を半分開いたまま空の方向に目を見開い ている。父が足でブルーギルの頭部を池に落とすと空を見つめながら沈んでいく。ワームと呼ばれるミミズを模した疑似餌を釣り針に刺して竿を後ろに振って溜 池に投げ入れようとすると父の額に釣り針が刺さってしまう。父が針を引き抜くと額から少量の血が流れる。父は微笑みながら拳で血を拭う。もう一度私は竿を 振りワームを溜池に投げ入れる。黒いワームの三日月形の尻尾が濃い緑色の水中でひらひら揺れながら沈み見えなくなる。

堤防で猫の鳴き声が聞 こえる。雑草を掻き分けて茶トラ柄の子猫が近寄って来る。2歩進むごとに1度鳴く子猫。背中を撫でる。全身が湿っている。撫でた手を見ると軟便が付着して いる。子猫はまだ加減が分からないので餌を食べすぎてしまうことがある。子猫のほぼ全身に軟便が付着していることを確認すると雑草に軟便を擦り付けて立ち 去る。私の後を一定のペースで鳴きながら追いかける軟便に塗れた子猫。私は堤防の坂を勢いよく駆け下りる。

隣の家の物置の下のコンクリート ブロックと地面の隙間で子猫が生まれる。夕方、私が台所で電子レンジで温めた冷凍のお好み焼きを食べていると裏庭から子猫の声が聞こえる。網戸越しに裏庭 を見ると茶白柄の子猫が座って私を見て鳴いている。子猫は網戸に向かって跳び、爪を引っ掛けてしがみつき鳴く。私は少し網戸を開けて隙間から手を伸ばして 子猫の背中を掴み放り投げて網戸を閉める。子猫はまた網戸に向かって跳び、爪を引っ掛けてしがみつき鳴く。私はまた網戸を開けて隙間から手を伸ばして子猫 の背中を掴んで台所の床に着地させる。子猫は台所から仏間へ進んでいく。仏間にはトイレから四足歩行で洋間へ向かう途中の祖父がいる。祖父を追い越した子 猫は洋間の網戸へ到達すると座って鳴く。私が網戸を開けると子猫は外へ飛び出して裏庭へ続く通路へ向かう。私は台所へ戻り、棚からツナ缶を取り出して蓋を 開けて裏庭に設置すると、すぐに通路から子猫が駆けてきてツナを食べ始める。私がトイレに入っている間に空の缶を残し子猫は消える。

翌日の 夕方に裏庭の様子を窺おうと窓を開けると盆栽と盆栽の間に1匹ずつ座った状態の合計5匹の成猫が目を見開き私を見つめている。私は2階の自室に向かい学習 机に置いてある問題集を開いて椅子に座る。私は指で自分の髪の毛を摘まみ太めの髪の毛を探し当てると勢いをつけて引き抜く。私は髪の毛の根元に付着してい る皮脂を前歯で削ぎ取り咀嚼して飲み込む。その髪の毛を銜えて舌で太さを確認すると前歯で細かく切断すると口内で唾液と混ざり体内に送られる。私は手で頭 部を掻き毟りながら髪の毛を採集してその中から太めの髪の毛を選んで学習机に根元の皮脂を付着させて並べる。


大山純平 個展

「ディストピアの住人たち」

 

The White

2015年11月24日(火)~12月5日(土)

13:00~19:00,~17:00(最終日)

日曜、月曜定休

テクノロジーによる人倫の前提である主体の解体作業。


大山純平 個展

「ARBEIT MACHT FREI(働けば自由になる)」

 

トキ・アートスペース

2015年6月15日(月)~6月21日(日)

11:30~19:00、~17:00(最終日)

水曜定休

人間が耐えられる抑鬱状態には一定の限度がある。その限界点に達すると、それぞれが置かれた環境の内で、何か喜びのもととなるものを見つけ出す必要がある。どんなにつまらないことでも、どんなにレベルの低いことでも―もし、それからも生きつづけるつもりであれば…。私の場合、全面的な崩壊の淵に落ち込むぎりぎりの際で押しとどめてくれたのが、この大量生産された清潔な工業製品である写真たちだった。窓辺で写真たちを眺めて過ごす時間が日ごとに長くなっていった。飛翔、いさかい、ネズミの動きを思わせる敏捷な羽ばたき。写真たちが繰り広げる反目と同盟の縮図。不思議なことに、窓の前に立っている時だけ、私は安心感を覚えることができた。写真たちを見ている間は、生への仮借ない攻撃を受けずにいられた。私にとって一種のセーフガードになっていたのは、この写真たちの人間に対する無関心さだった。ありとあらゆるものが危険で敵意に満ち、ともすれば痛苦をもたらす世界で、唯一、この写真たちだけは私に危害を及ぼすことがない。それはおそらく、彼らが私の存在に気づいてすらいないからだろう。写真たちはまさしく、私にひとときの安らぎを与えてくれる避難所だった。

 

(アンナ・カヴァン 山田和子訳 『アサイラム・ピース』より抜粋して一部改変)

 

われらが都市があるときは判事、またあるときははさみ罠、また別のときはタコになるのがどうしてなのか、わたしには説明できない。また、わたしに下された判決についても説明することができない。その刑は本当はふたつあり、たがいに相容れないものであるが、同時に執行されている。この都市から追放される刑と、この都市の中に監禁される刑だ。そもそもこんな絶望的な状態にずっと甘んじていることじたい、なんて図太い心臓の持ち主なんだと思われるかもしれない。実際、本当に絶望することもしばしばある。この矛盾があまりにも厳しく無意味で理解不能であることに、耐えがたいと思えることが。そういうときにかろうじてわたしをもちこたえさせてくれるのは、希望だ。いつかそのうち偶然にでも解決策があらわれるかもしれない。この矛盾した刑の片方がなんとかしてもう片方に融合するかもしれない、もしくはこの判決全体が緩和されるか、ことによると赦免されるかもしれない、そういう希望だ。こういうあいまいな事態には整然とアプローチしてもなんの益もない。できるのはただ、可能なら生きつづけることだけ、そして機会があれば、ほんの少し、おずおずと進んでみることぐらいだ。最初はある方向に、それからまたべつの方向に。そうしていれば、いつかついに解決策が見つかるかもしれない。よりあわせた針金でできた知恵の輪がまったく偶然の操作によって、突然ぱっとふたつに分かれることがあるように。

 

わたしが本当に驚いているのは、自分の楽天性だ。現在、進退きわまっていることを、わたしはひしひしと感じるべきなのだ。わたしはいつもどこで、土壇場での希望となるさらなる新しい頼みの綱を見つけるための勇気を見い出してしまうのだろう? わたしの苦しみを長引かせ増幅するだけの、この無情にして不滅の希望、わたしはそれを憎む。わたしは希望をひっつかみ、絞め殺してやりたい。

 

(アンナ・カヴァン 細美遙子訳 『われはラザロ』より抜粋)