すべてが不統一だった

彼女はウルリケを見ていた。頭部と上半身、首にはロープによる火傷の痕がついていた。でも首を吊るとき、どんな器具が使われたかはよく知らなかった。

別の人間がベンチのほうに歩いてくるのが聞こえた。男が、重たげに脚を引きずる音だ。彼女は立ち上がり、ウルリケの絵の前に立った。関連した三つの場面の一つだ。どの場面でもウルリケは死んでいる。独房の床に倒れていて、横顔が見える。キャンバスの大きさはまちまちだった。頭、首、ロープによる火傷、髪、顔の表情といった、その女の姿は作品ごとに様々だった。ぼんやりとうす暗い調子で、細部が明瞭だったりそうでなかったりする。ある一枚ではざっと描かれているだけの口が、他ではほとんど写実的だった。すべてが不統一だった。

 

『天使エスメラルダ―9つの物語 バーダー゠マインホフ』