範囲外

それから二人は近くの本屋に入って、長い通路を歩いた―涼しくて落ち着いた空間。何千冊もの本が、テーブルや棚の上で輝いている。静かな場所、夏の日曜日。子供は猟犬の物真似を始めた。本を見つめ、匂いをクンクンと嗅いでいたが、触りはしない。指の先で顔を押し、顎が垂れ下がるようにしていた。彼女はそれがどういう意味かはわからなかったが、次第にわかってきたのは、彼が彼女を楽しませようとしているわけでも、困らせようとしているわけでもないということだった。その行動は彼女の影響の範囲外で、彼と本とのあいだのものなのだ。

彼らはエスカレーターで二階に昇り、しばらくの間、本を見て回った。科学の本、自然の本、外国旅行、フィクション。

「学校で教わったことの中で、一番よかったことって何?最初までさかのぼって、最初の日から考えて」

「一番よかったこと」

「最大のこと。言ってごらんよ、坊主」

「お父さんみたいな言い方だね」

「その穴を埋めているのよ。二重の役割を果たしているの」

「お父さんはいつ帰って来るの?」

「八日か九日後かな。一番よかったことは何?」

「太陽は星である」

「教わったことの中で一番よかったこと」

「太陽は星である」と彼は言った。

「でも、それは私が教えたんじゃない?」

「そうじゃないと思うよ」

「それは学校で教わったことじゃないわよ。私が教えたのよ」

「そうじゃないと思う」

「家の壁に星図が掛かってるでしょ?」

「太陽は壁の星図にはないよ。あれは外にあるんだ。上にあるわけじゃない。上も下もないんだよ。ただ、どこか外部に存在してるんだ」

「じゃなきゃ、私たちがここという外部に存在しているのね」と彼女は言った。「その方が真実の状態に近いかも。私たちこそ、どこか外部に存在しているのよ」

二人はこれを楽しんでいた、ちょっとしたからかいや冷やかし。背の高い窓辺に立ち、行進が終わるところを見ていた。旗が下げられ、畳まれている。群衆は四方八方に去っていく。公園に向かう者、地下鉄に降りる者、あるいは横町に入っていく者。ある意味で、彼が口にした文章は驚くべきものだった。ひとつの文章、五つの単語。それだけで、存在しているすべての事物に関してすべてのことを言っている。「太陽は星である」。このことを彼女自身はいつ気づいたのだろう?いつ気づいたかをなぜ覚えていないのだろう?「太陽は星である」。これは天啓のようなものではないか。我々が何者であるかを考える上での、新鮮な見方。もっとも純粋だが、最後にようやく開けてくる見方。ある種の神秘的な戦慄、覚醒。

 

『墜ちてゆく男』