無関心が一番の解決だ

定年後はどうする サマセット?

畑を耕し家の修理でもするさ

だが寂しいと思わんかね 警官じゃなくなるんだ

うれしいよ

ムリだね 君は辞められん

犬の散歩中に男が襲われた 時計と財布を盗られ救いもなく歩道に倒れてたら今度はナイフで両目を刺された ゆうべ近所で起こった事件だ

知ってる

もうついて行けない

ずっとこうだ

確かに

この仕事は君の天職だ 君も否定はしまい 違ったか?

 

諸君 なぜだね? この書籍と知識の山に囲まれて君たちは一晩中ポーカーとは

俺たち文化人だぜ 尻から文化をひねり出してる

 

都会では他人には関心を持たない 強姦魔に襲われたら大声で“火事だ!”と叫べと言う “助けて!”では誰も助けてくれない

クソだな

 

遊んでる

クソ野郎!

感情的になるな 冷静に状況を見ろ

俺は感情で生きてる

聞いてるのか?

聞こえてる

失礼

何してる? 立入禁止だぞ

UPIのカメラマンだ 通信社の記者だ

出てけ!

写真を撮ったぞ あんたのな

俺はミルズ刑事だ MILLSだ

スペルを?

バカ野郎 なぜこんなに早く?

警官の情報だ いい金を払ってる

悪かったよ だがあの野郎

いいさ 感情で生きてる奴も面白い

 

あなたならこの町に詳しいと 長く住んでれば…

きつい町だ

わざわざ来てもらって

悩みがあるならご主人に相談すべきだ

負担をかけたくないの 特に今は… いずれ慣れるわ ただこの町に長い人と話がしたかったの 州北部はまるで環境が違うから 私が小学校で教えてたって聞いてる?

聞いたよ

あちこち学校を見たけどここの状況はひどいものだわ

私立の学校は?

さあ

本当は何を悩んでる?

じつは子供ができたの

トレーシー そういう話は私に相談されても…

この町が嫌い

私も女性と暮らしてた 夫婦同然で やはり子供ができた ずっと昔の話だ 朝起きて出かける用意をしてた いつものように… だが頭の中に妊娠があった そのとき生まれて初めて怖いと思った こう思った こんな世界に子供を? こんなひどい世の中に産むのかって それで彼女によそうと それから数週間彼女を説得した

私は産みたいわ

今考えてみても正直言ってあの判断は間違っていなかった だが1日として違う決断をしてればと思わない日はない もし子供を産まないつもりなら妊娠は内緒にしろ だが子供を産むのなら精一杯甘やかして育ててやれ 私が話せるのはそんなところだ 行かねば

ウィリアム ありがとう

 

もう一度聞かせてもらう 何も変なものは見なかったと?

ああ

お前の店に来て下の部屋に行ってアヘアへするには必ず君の前を通る 誰も見なかったか? 何か荷物を抱えた奴を

来る奴はみんな何か抱えてくる スーツケースに物を詰めて来る奴も

仕事は楽しいか? あんな所で?

いいや 楽しかねえ それが人生だろ?

 

これを脱がしてくれ 脱がしてくれ 奴は俺に“独身か”って 手に拳銃を持ってた

女は?

女って?

娼婦だ どこにいた?

彼女はベッドに座ってた

縛ったのはお前か?

あいつが拳銃で俺にあんなマネを 無理矢理させられた あの変なものを着けさせられて それから女をヤレと それで女とヤった 神様! 口に拳銃を突っ込まれて ノドまで拳銃を突っ込まれたんだ ファック! 神様 神様助けて お願いです

 

ハッピーエンドはない 絶対に

逮捕するさ

もし捕まえたジョン・ドウが本物の悪魔だったらお前も納得するだろ だが悪魔じゃない 奴も人間だ

あんたはそうやってブツクサばかり言って… 甘くないと教えてくれるのは嬉しいが…

英雄になりたいか? 人々は英雄なんて求めてない 平凡に暮らしたいだけだ

あんたこそ素直じゃない 何でだ?

いろいろあったのさ

例えば?

俺はもう無関心が美徳であるような世の中はうんざりだ

あんたも同じだろ

違うとは言ってない 俺にも十分わかる 無関心が一番の解決だ 人生に立ち向かうより麻薬に溺れる方がラクだ 稼ぐより盗む方がラクだ 子を育てるより殴る方がたやすい 愛は努力が要る

俺らが話してるのは頭のイカれた奴らだ

そうじゃない 我々は日常を話してるんだ お前はウブすぎる

よせよ 考えてみろよ あんたは問題は人々の無関心だという 俺は人など知ったことか 自分にあればいい

関心が?

ああ そうだ

自分が世を変える

ともかくあんたは世の中をそう思うから辞めるわけじゃない 辞めるからそう思いたいんだ 俺に同意を求めてる “ああ 世の中最悪だ こんな所やめて山奥に住もう”ってね だが俺はそうは言わない あんたに同意はしない できない

 

お前は誰だ? 本当の正体は?

正体?

今さら正直に言っても損はしまい

私が誰かなんて意味はない 左を走ってろ

行き先は?

あせるな

ただ死体の所に行くとは思えない それじゃ面白くない 新聞だって期待してる

人にものを聞かせたければ手で肩を叩いてもダメだ ハンマーを使うのだ そうすれば人は本気で聞く

お前は人にものを聞かすほど特別なのか?

特別じゃない 私は人と同じだ だが私のしてることは特別だ

してること?

ああ

別に何も特別じゃない

違う

そうさ 不思議なことに2か月も経つとみんな興味を失いすべて忘れちまう

まだ全部終わってない このすべてが終わればその結末は人には理解しにくいが認めざるを得なくなる

訳が分からんね くだらん計画だ

早く君に見せたいよ すばらしい結末だ

俺はお前の横についてる ショーが始まったら教えろ 見逃したくない

心配ない 見逃さんよ 絶対にな

嬉しそうだな

もうすぐだ

よく分からない 教えてくれよ 異常な奴ってお前もそうだが自分を異常だと? 1人で本を読みマスをかきながらふと自分を“俺すげえ頭がイカれてるぜ”なんて そう思うか?

私が異常者なら安心か?

その通りだ

どうせ君には理解できない 私は選ばれた者なのだ

そうかい

そう信じてるんだろ だがお前は矛盾に気づいてない

どんな?

よく聞いた もしお前が何か偉大な力に選ばれてこうしてるならなぜ自分が楽しんでる? 人殺しを楽しんでる とても殉教者とは思えん

どうだ?

ミルズ刑事が尋問室で私と2人になればもっと楽しむ そうだろ? 好きなだけ私を痛めつけられる

傷つくね 俺は決して…

結果を恐れてしないだけだ だが目が語ってる 仕事を楽しむのは当然だ 私自身も喜んで罪人に罪を償わせた

お前は罪のない人たちを殺した

罪がない? 冗談だろ あの肥満男 満足に立つこともできずあのまま人前に出れば誰もがあざ笑い食事中にあいつを見れば食欲は消え失せる あの弁護士など感謝状をもらいたい あの男は生涯をかけて強欲に金を稼ぐためにあらゆるウソをつき人殺しや強姦魔を街に放してた

人殺し? お前自身だ

あの女! 心が醜くて見かけだけでしか生きられない ヤク中など腐った肛門愛好者だ それにあの性病持ちの娼婦 この腐った世の中で

誰が本気で奴らを罪のない人々だと? だが問題はもっと普通にある人々の罪だ 我々はそれを許してる それが日常で些細なことだから朝から晩まで許してる だがもう許されぬ 私が見せしめをした 私のしたことを人々は考えそれを学びそして従う 永遠にな

誇大妄想だ

君は感謝しろ

どうして?

この後人々の記憶に残る いいかね 私が今ここにいるのは私が望んだからだ

いずれ捕まえたさ

そうか だが何をしてた? 私とふざけてただけだろ? 5人の罪なき者を殺してワナを張ってたか どんな明白な証拠をもって私に迫ってた? 私が自分で手を挙げて来なかったら?

そう熱くなるな お前の部屋を見つけたろ

そうだ 私はお前のツラをブン殴った わざと殺さなかったんだ

下がってろ

情けでな

下がれ

鏡で顔を見るたびに思い出すがいい 今後一生… 私のお陰で救われたこれからの一生を

下がれ 異常者め 黙ってろ お前は救世主などじゃない せいぜいワイドショーのネタだ

私は憐みなどしない 皆神に滅ぼされたソドムの住民と同じだ

お前も神と同じ審判を与えたと?

神の行いは神秘だ 話ができて良かった 本当に君には感心してる 君は立派に生きてる 自信を持っていい

やかましいぞ

私も君みたいに…

黙れ

聞けよ 君をほめてるんだ 可愛い女房もな トレーシー

何だと?

君の分署の警官たちは簡単に記者に情報を流す 今朝君の出たあと家におジャマした 平凡な夫の楽しみを味わいたくてな 逆らいおった そこでみやげを持ってきた 女房の首だ

こいつは何を?

銃を

あれは?

銃をよこせ

あの箱の中身は?

君の平凡な暮らしをねたんだ私も罪人だ

あの箱は? 中身は何だ?

言っただろ

ウソだ このウソつきめ!

奴はお前に撃たせたいんだ

言えよ ウソだろ

復讐…

無事だろ?

怒りの罪だ

無事だと言え!

殺せばお前の負けだぞ

女房は命乞いをした 子を身ごもってると 知らなかったのか

銃をよこせ デビット こいつを殺せばこいつの勝ちだ

ああ 神よ

 

面倒は見る

ぜひとも

このあとは?

何とか… やっていくさ

 

ヘミングウェイが書いてた 「この世はすばらしい 戦う価値がある」と 後の部分は賛成だ

 

『セブン』