自分で考えろ

まだ来ない?

“おなよう”は?

さあね

探してきてよ

どこをだよ

顔は洗った? 猿じゃないのよ

猿はあんただ

何ですって?

別に

待って

目障りだ

何?

聞こえたろ

 

ヴァディム 相変わらず選挙の心配か 1年先ではないか

“備えあれば憂いなし”

言うまでもなく君は世情に通じているが神を忘れるな

俺がいつ…忘れた?

分かっている 君は最も気前のいい後援者だ 今日は理由があって遠方まで来たのだろう 魚を食べてくれ

そうだとも

何度も言うがあまり気を揉むな 権力は神がもたらす 神が望む限り心配は無用だ

神は俺をお望みか? 他の誰に聞けばいい 司祭だろう?

望んでおられるとも 空腹に飲むな

 

検察官が不在で受理できません 権限がないので

君の他には誰もいないと?

権限がある者は

不自然だとは思わないか?

別に 検察官2人のうち1人は病欠 1人は捜査に出ています 郵送するか裁判所へ

不受理の証明書を

ですから権限がないんです

 

裁判官に会いたい

誰もいません

1人も?

助手や秘書官は? 戻りは?

聞いてません

そうか どうも

 

ところで洗礼は?

なぜ聞く?

単に興味が

俺は弁護士だ 事実を信じる

そうか では後日

 

心配も程々にしろ 自分のことや他人のことを気に病みすぎる 知っておろう すべては神の意志なのだ

もちろん知っている

では何を悩む? 信仰が揺らいだか? 聖餐式は? 懺悔は?

欠かさず日曜ごとに 努力してる 忙しくてなかなか難しいが心掛けている

誰に懺悔をしている?

あなたが紹介してくれた地元の司祭だ

アレクセイ神父?

そう 彼だ

いい司祭だ

問題はない

憂うことはない 神の望む仕事をしているのだ 良き行いは楽しく易々と為されるものだ だが忘れるな 敵は眠らん いつでも襲ってくる

そこなんだ それが問題なんだ すべて失うのではと気が休まらない 実は…

何も言うな これは懺悔ではない 互いに同じ大義のため尽くしていたとしてもそれぞれの領分は異なるのだ

分かっている ただ気が気でない

数日前にも言ったばかりだが権力は神がもたらし力と共にある 自分の領分で権力を握っているなら問題は自分の力で解決するのだ 誰かに助けを求めれば敵に弱みをさらすぞ まるで子供に諭しているようだ ヴァディム 別人のようだぞ 夫婦は円満か?

そう思う

子供たちは?

元気だ

体調は?

問題ない 健康だ

何よりだ 神の祝福を

 

全部私のせいだわ

そうじゃない 誰もが罪を犯す すべては誰かの罪だ だが罪を告白しても法律は有罪の証拠とは認めない 有罪が証明されなければ無罪だ だが誰が何を誰に対して証明する?

神を信じる?

みんな聞くんだな 俺は弁護士だ 事実を信じる やめてくれ お願いだ 誰にも何も言うな

証拠がないから?

今後もない 一緒に来るか?

あなたが分からない

俺にも分からないよ

 

それでどこにいる? あんたの慈悲深き全能の神は?

私の神は共にいるがあなたの神は分からない 誰に祈りを? 一度も教会に来ず断食も聖体拝領も懺悔もせず…

ろうそくを灯せば何か変わるのか 今なら取り戻せるのか? 死んだ妻も 俺の家も? どうなんだ?

分からない 主のなさることは謎だ

分からない? だったらなぜ懺悔しろと言う 何なら分かる? 飲むか?

“海の怪物(レビヤタン)を釣り上げ縄で舌を縛れるか? それは哀れみを請い優しく語りかけたりするだろうか? それは地上に比類なき誇り高き獣らの王である”

ヴァシリー神父 俺は普通に話をしているのに謎かけか? 何のために?

ヨブという男をご存じか? 彼も人生の意味ばかり問い続けた “なぜ私だけが?”と 病でかさぶただらけのヨブに妻は道理を押しつけようとし友は神を怒らせぬよう諭した しかしヨブはもがき耐え続けた すると神は態度を和らげ嵐の姿で彼の前に現れるとすべてをはっきり説明された

それで?

彼は運命を受け入れ140才まで生きた 子や孫を4世代見届け老いて満ち足りた死を迎えた

おとぎ話か?

いや違う 聖書に書いてある

 

あなたのパンよ

神の祝福を

神に栄光あれ

 

こんなこと… 自分でやったんだと思う?

検視で分かる

コーリャが“殺してやる”ってわめいてた やったかもしれない 彼ならできる

聞いてるよ 彼だったら何だ

警官なら教えてよ

自分で考えろ

 

『裁かれるは善人のみ』