避けがたい

交代ゲームは?

知らないな

昔退屈な時妹とよくやったわ

今退屈?

黙って最後まで聞いて

どうやるんだ?

まずさりげなく周りの人を観察する

それで?

私には内緒で入れ替わりたい人を選ぶ 誰を選ぶかは自由よ

決めた

私はあなたが誰をどうして選んだかを当てる

まあ頑張れ

あの人

ハズレ

誰を選んだの?

彼だ

パパ?

子供のほう 無限の可能性を秘めてる

ジジくさい まだ21歳なのに

そうだけど 楽しそうだ あの歳なら好きな時にウンチできる

今やってる最中かも

その通り 俺にはできない

今度は私 決めた

黄色い服の子?

どこ?

あの子だ

見えない

あそこ

冗談? ごめん だけど…

出よう 気分が悪い 車に戻ろう

元カノか誰か会いたくない人がいたの? 黄色い服の子とか言ってたけど

気分が悪かっただけだ

 

ずっと夢見てた 大人になってデートしたりドライブできる日を イケてるカレシと手をつないでラジオを聴きながらキレイな道を車で走るの きっと北のほうね 紅葉が始まってる 行き先は問題じゃなくて自由が欲しかった 大人になった今どこに行けば?

 

ジェイ? 気がついた? ごめん

何するの?

乱暴はしない 安心して 信じないだろうけどこれからする話を忘れるな いいね? あるモノがつけてくる 俺が感染したそれをさっき車の中で君に移した それは時に知人に時には他人に姿を変える 変幻自在だ いろんな人間に見えるが実体は1つだ

助けて 助けて!

時には君を傷つけるために愛する人に姿を変えることも 来た 来たぞ

誰なの?

なるべく早く誰かと寝て相手に感染させろ 君が殺されると俺に戻ってくる

どうしたいの?

これが現実だと知ってほしいんだ

誰か助けて!

常に逃げ道を確保しろ 動きは鈍いが頭はいい

 

“家の下敷きになる寸前など窮地に陥ると人は目を閉じて最後の瞬間を待ちたがるものだ”

 

“僕は海底を走り回る一対のハサミであるべきだった 午後に宵に安らかに眠る 長い指になでられて 疲れて眠っているか仮病かもしれないが 君と僕の横に寝そべっている お茶とケーキとアイスのあとに危機に立ち向かう強さがあろうか 僕は泣いて食を断ち泣いて祈り大皿に載った自分の禿げはじめた頭を見た だが僕は預言者ではない 我が偉大なる瞬間を見たが僕の上着を抱え嘲笑する従者も見た 僕は恐れた 果たして価値があっただろうか マーマレードとお茶のあと茶器を囲んで君と僕は語り合った 笑顔で会話を終わらせればよかったか 宇宙を小さく丸めて永遠の疑問に向けて転がせばよかったか 我はラザロ 死からよみがえった あなたがたにすべてを語るために もし彼女が枕に頭をうずめたままそんなつもりではないと言ったとしたら”

 

君をつけ始めてもまだ俺にも見える 終わってないんだ 前にも言ったけど誰かに移すしかない

一体何の話?

俺をまねろ 女のほうが簡単だろ 誰かと寝て事情を話せ たぶん解放される

ありえない ふざけてる

俺だって危険なんだ 一緒にいるのはマズい 帰れ

おい 指図するな

彼女が死ねば次は俺 そうやってさかのぼる ジェイ 本当にごめん 悪気はなかった 俺だって被害者なんだ

相手は誰?

バーで拾った女だ 一夜限りの 名前も覚えてない 彼女だと思う

ジェフ ふざけるな 彼女はだませても俺はだまされないぞ

女が見えるか?

うん

ああ

そうか よかった ジェイ いいか? 君がどこにいようとあれは追ってくる でも必ず歩きだ 車で逃げて時間を稼げ 移すことを考えろ

 

“拷問には苦痛と傷が伴う 肉体的苦痛は精神的苦痛を超越し人は傷の痛みに死の瞬間まで苦しむ だが最悪の苦痛は傷そのものではない 最悪の苦痛はあと1時間あと10分あと30秒でそして今この瞬間に魂が肉体を離れ人でなくなると知ること この世の最悪はそれが避けがたいと知ることだ”

 

『イット・フォローズ』