誰も愛さないのね

“昔むかし小人が魔法の国に住んでいた 太陽に恵まれ森にも川にも獲物がいて幸せに暮らしていました”

タバコを取って

“ある時巨人のゾムがやって来た” 倒した

売女のくせに足を掛けた 引っ掛けた 大丈夫だ 本当に酔っちゃいない 彼女のせいだよ 口にしろよ 口にだよ したかったんだろ

階段をはい上り体をぶつけながら照明を探す

扉が閉まる

あんたはここで一人 やりきれない

やめてよ

 

無鉄砲ね

アルマ! 下で何があった どうした 何かあるのか

何でもない

誰かいるんだろ 行くな ここにいろ いるんだ

あなたなの? 信じられない なぜ戻ったの 幾夜もあなたが現れる奇跡を待ってた

男に足払いしたから姿を見せたのよ

いると思わなかった

私のためね 私に合図するためね 大丈夫 部屋があるわ あるのよ 助けて お願い

行きたくない もうホテルはイヤ 彼には私しかいないの 努力したのよ もう一度する勇気はないわ それでも愛してる? 好きよ

別の部屋を頼んで キーを受け取るの 私は204号室よ

自信あるのね ごめんね

 

初めて会った夜 顔にキスしたかった 彼が誘ったでしょ 私の友達をみんな誘うの あの奇抜さとおもちゃの電気機関車 それと冷たい仕草でね 私うまかったでしょ “私の秘密の部屋を見せるわ” “やめろ アルマ くだらん部屋なんか見ないよ” 考えたの 来るわけないって でもあなたは来てくれた 彼が私を見てもうひと言 “彼女美人だな” あなたは答えたわね “そうよ”って 気詰まりしてじっとしてた 彼にはアタマ来たわ 二人で会うのを邪魔して あなた達に仕返しするためキスしたの あなたの手を見てた 抱いてもらいたいとすぐ思ったわ あなたを望んだのは些細なこと 私を不安にさせたのがステキ

 

お前老けたね すぐに彼女と同じよ “好きよ 嫌いよ”って 好きなの 嫌いなの 卑怯者 泣きたくなる ブスね ウサギのように最後には撃ってあげる

 

今だから私を助けて 私たち別れましょう

いや

出てって 早く出てって 追って来る気でしょ 一番きれいなあなたを知ってるわ

頑張るのよ 耐えて! 私と一緒にいて 本当にお願いよ

彼と別れさせたら私を絶対に許さない 私を見て 見るのよ 私は心が広くないしあなたも私を責め続け必ず不幸になるわ

でもあなたは私にとって得がたい人なの 友として好きだし今まで最高の恋人よ 好きなの

あなたに殺された人として私は暮らしたいの それで幸せ 服を着て 着なさいよ 言った通りにして!

私の敵だろうと味方だろうと好きなの これで最後なの?

そうよ 私が電話しても相手にしなくなる

ここをずっと借りるわ 失った親友を嘆くために

彼と幸せになって

ありがと

 

あなたは挑発的で気まぐれで意地悪 そこが好きだけど…

嘘ばっかり ただ私に嫉妬したいだけ そんな心もない? 見せないなら信じないわ

誰も愛さないのね 自分を愛する人を探すだけ 言っとくわ あんたに妬くなんて絶対ない 二人ともおしまいよ 奴らが来るわ 私が知らせたの 教えたのよ 捕まるわ ホテルに戻って 戻るのよ 急いで… 急いでったら

夫が来る 私をかばう必要はないわ 彼の態度を許してあげて 分かってあげて 今から許してね 許して お願い

いいわ

 

彼女のせいじゃない

俺の女だぞ! こいつの食事も家も酒も! 俺が現金で払ってきた お前の心も身体も俺のものなんだ!

やめて 約束してくれたじゃない!

俺の女だ! 現金払いだぞ! 行くぞ! 出て来い! 帰るぞ!

やっぱりな ややこしくなってきた 結論が出るわけない やりすぎると女性の恐ろしさを見る

そっちが帰らないなら俺がここに残って見せてもらおう それもいいだろ 興奮するかもな パーティーだ 飲み物でも取るか 気楽にしろよ! 楽しめ! 恥ずかしがるな さあ見せてくれ 始めろよ 俺に見せて見ろ 完全に愛想を尽かすほど打ちのめされたい やるんだ! 口にキスしろ 口にするんだ! 次は首だ 俺を不快にさせるんだ! もう一度だ もっと!

やめて

アルマ やめろ 少し考えたんだが結婚指輪を外してくれ あった方が興奮するとは思うんだが理由は分からん 外してくれ 外すんだ

いつまでこんなことやらせるつもり?

これを望んでたんだろ? 違ってたんなら悪かったよ それなら何なんだ “かなわぬ愛”か? 俺達はどうなる? 夫から逃げたいんだろ? 夫からも結婚からも指輪からもオサラバか! 俺の結婚指輪を返すんだ 指輪を返せ 返せったら!

私の問題よ!

俺の指輪をよこせ この売女!

愛してるの! 彼女を! こんな指輪要らない こんなの要らないわ

ほっとけ 触るんじゃない! 触るな!

あなたに触りたくても今までできなかったわ

 

あなた嫌いよ

男ってのはな すぐ感情に流され人前だとよけいイバる 忍耐がない

さあ

やめてくれ 聞こえないのか!

立ってよ

まだ選んでない 本気にはな 俺かお前か選ばせよう 結論は出てない

彼女と暮らせる?

何様のつもりだ 俺より偉いと? 自分をよく見ろ 逆の立場だったかもしれん 俺と同じだよ

奴ら何してるんだ 見てこい

お酒を

酔っ払った彼女を介抱するのはどっちかな おいお前 外にいる友達に飲み物を運ばせろ 彼女の分だけじゃなく俺のも ともかく暖かくて居心地はいい 悪い雰囲気じゃない もしあんたが帰りたいならそうするのも構わない 下で飲むのもいい 止めやしない そうだろ?

俺はチョイ役だが驚いた顔なんか見せやしない いいか 気をつけろ 何もするなよ 分かったな

彼女何しに? 私を見てるわ あんな目をされるのイヤ 吸い込まれてしまいそう 私が映ってない

やめろ そんな目で見るな

見るなら他人のように裁きの目で見て

出ろ あの娘が苦手か

意地悪しないで

これを運んだだけさ あっちにいる 用があれば呼べよ

みんなで何か食べに行かないか あんたも一緒に残るんだよ アルマがいいと言うまで

そうね 分かったわ

どんな時も私は一緒よ ロウソクになって眠るまでいてあげる なぜ誰も愛さないの

 

私のことを忘れさせて 彼女一人で戻ってくるわよ 言うこと分かる?

俺か? 分かってるよ お前は?

俺のコーヒーとデザートは? 気分でも悪いのか? 子供の頃は無理に食べさせられたろ 全部食べなきゃダメだ 熱意と勇気と誇りをもって 彼女には誰か必要だ 罰してほしいんだよ 罰したいんだろ!

この間抜けの使い道が分かるだろ 正論を語る

何か頼めよ

彼女出てったわ

ウソ言え! 見張ってたぞ! ひどすぎる!

どこへ?

捕まえて来い

お見事

早く!

やられたな 駅へ行く 居場所を? 激しい攻防だ 情熱の競り合いか

情熱なんか分かるの? 報告書でも書けば? 中身のないやつをね 汚らわしいイヌの失敗 役立たずね

バカにされるのは慣れてる 慎重にやるとあの子に約束した

私のこと好き? いいわよ 抵抗しないわ

あんたが必要なんだよ 動かないで さあ来るんだ あとを追うしかない いいか みんな乗ったな? 一緒に追跡しない奴は誰でも殺してやるぞ

 

 

キャビンR

いたのか?

キャビンR

彼女を取り返しましょ 男どもを片づけるの さあ 勝手にさせていいの? 遅れを取るわ

もう別れたのよ

待ってくれ 急ぐなよ 順番がある 彼女はキャビンで忙しい 二人で再出発の儀式でもするのかも

 

来たよ さあ これが望みか? もうやめてくれ 我慢できないんだ 信じたくない 君がそんなに俺を傷つけたいなんて なぜこんな不潔で臭い船に俺を連れてきた? 俺の髪をなでつけてくれ できることなら切り刻んで放り投げたい

彼女は?

前甲板でボーッとしてる 船首像のようにキレイだ お前もな

何も言わず何もしなかった 勝手に悩んでるわ ひどい女よね 寝入ったあなたの顔や道端に立つあなたを見たかった あなたを待つの 駅の近くのバーで… 入ってくるのを見て考えるの “彼女よ 信じられない” その時魅惑されるという本当の意味が分かる でも寝てくれない 彼も大切よ

なぜ彼までここに? それも私と なぜなの?

分からない 私も知りたい ウソはついてないし二人とも大切にしたわ

汚れて不幸になってまでかっこつけて! もっと自由になるのよ!

自由を望まないとでも思うの? 誰があなた達と暮らせる? 二人とも退屈なだけ 私に何もしてくれない 何にも! うんざりするだけ!

いい滑り出しだ

すごく祈りたい 子供の頃みたいに 猫を捜そうと祈ったら見つかったの くだらないことも祈った 生理が来るようにとか でも今は断罪されるようにと祈るわ 魂なんか救われたくない

 

イギリス人は勝敗を予想してるのかな いったい何を書いてる

うるさい

ごめんなさい

謝ることないわ どうせ聞いてない

これを彼女に

彼女を捨てないで

一人にしてくれ

捨てちゃダメ

うるさい! ほっといてくれ

奴らと一緒に泣きたいか? この舞台は役者も芝居も最悪 最低の出し物だ 何を持ってる 手紙か 手紙だろ? アルマにか 恥を知れ 中身は分かってる “戻ってくるな 終わりだ 誰か探せ 夫より” 裏切者! アルマを不快にさせる手紙なんて!

 

みんな怒ってる 前は笑わせたのに… バカだったのね 彼は喜んでた もうイヤ 勘弁して それが分からないの? 私は標本箱の中のチョウなのにすべてが私のせいだと… 私を勝手に解釈してるだけ 私がどれほど死にたいか知らない 彼女は私を愛し守ってくれた 殺してくれなきゃ死ぬわ

お前には人殺しが必要だ

情熱を抑え結末をつけないよう人生を送ってきたわ でももう疲れたの 昔からずっと… 彼女とキスしたい 行って

 

彼女は連中を愛で丸め込む

彼女と寝た?

うるさいぞ 変態め!

床に伏せな! くだらない男だ 動くな!

銃を持ってるなんて聞いてないぞ よこせ

質問に答えるのよ

彼女とは寝てない まったくダサい銃だ 見る気もしない 一人にしてくれ! 昔なら銃よりナイフを抜く場面だぞ どんな時でもナイフで片をつける

ナイフが欲しい?

どこにでもあるようなナイフがな 銃じゃなくナイフだ 子供のくせに寝ないのか?

すごく用心深いのよ 知らなかった?

旦那は?

もう興味ないわ 好きにして

 

銃を持って来ただろ 出すんだ 怖がることないだろ! ベッピンさんよ! 月並みな女のくせに!

バカ! 男のクズ!

 

ナイフの贈り物 みんなも同じ考えよ ケガしないで

 

触らないで! あんたは冷酷で下劣な人間よ 私を死なせたいの? それとも彼に渡す気? 二人とも最低よ!

待ってたわ!

何もできないくせに!

俺のものだ! 来い

そうよ 私を! 撃って!

アルマ!

動いたら撃つよ! 動くな! いいわね! 本当に撃つよ! 撃つわよ! 本気だからね!

 

『ラ・ピラート』